50(フィフティーズ)の落書き帖

スクラップ帖103(馬場啓一さんの「男の礼儀作法」から・・・)
スクラップ帖102(寺西レポート・・・思いつくままに)
スクラップ帖101(モルテン代表取締役社長の民秋 史也氏、【教育改革への提言9章】)と雑感・・・)
スクラップ帖100(スクープ!-エスパニョール・ユースU-17(スペイン))
スクラップ帖99(雑感と河合隼雄氏の〔個の時代に合った規範を〕から・・・A)
スクラップ帖98(雑感と河合隼雄氏の〔個の時代に合った規範を〕から・・・@)
スクラップ帖97(山田洋次監督―2005年8月11日付け中国新聞「戦後60年を語る」から・・・)
スクラップ帖96(寺西レポート・・・講演会記録ー平成6年4月30日より・・・後編)
スクラップ帖95(寺西レポート・・・講演会記録ー平成6年4月30日より・・・前編)
スクラップ帖94(田勢 康弘氏の【戦後60年 (下)】(2005.8.16ー日本経済新聞より)
スクラップ帖93(寺西レポート・・・X理論・Y理論)
スクラップ帖92(雑感・・・矢部廣重氏から・・・A)
スクラップ帖91(雑感・・・矢部廣重氏から・・・@)
スクラップ帖90(雑感・・・いかにやらせるか・・・)
スクラップ帖89(寺西レポート・・・オランダ協会のジュニア育成・・・B)
スクラップ帖88(寺西レポート・・・オランダ協会のジュニア育成・・・A)
スクラップ帖87(寺西レポート・・・オランダ協会のジュニア育成・・・@)
スクラップ帖86(師匠 寺西 忠成のこと・・・E)
スクラップ帖85(師匠 寺西 忠成のこと・・・D)
スクラップ帖84(師匠 寺西 忠成のこと・・・C)

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スクラップ帖95(寺西レポート・・・講演会記録ー平成6年4月30日より・・・前編)
2006/04/10
平成6年度春の広島地区高体連サッカー部総会に、当時広島県高体連サッカー部技術委員長であった眞藤邦彦先生(現JFAナショナルトレセンコーチ中国地域チーフ)から、「寺西さんに講演をお願いしたいのだが」との依頼があり、お願いしたところ快諾を得た。テーマは眞藤氏から提案があったと聞く。
眞藤氏の講演記録が残っており、ここに再び前編、後編の2回に分けて掲載しようと思う。・・・




広島地区高体連サッカー部総会 平成6年4月30日(土)
講演会   テーマ【個人レベルをどうアップさせるか】
講 師    寺西 忠成

前編・・・




『元八幡製鉄サッカー部の監督であった寺西さんは、現在福岡県小倉在住で、3年前より東福岡高校サッカー部のコーチを務めておられ、また広島一中OBということもあって、現在の国泰寺高校を長年にわたって指導されてきています。この情熱あふれる氏に、広島サッカーの再建に一役かっていただこうと、この度の講演会に講師としてお招きした次第です。

さて、今回は「個人レベルのアップについて」と題して、90分間ハーフタイムなしで非常に充実した話をしていただきましたが、誌面の都合で、要約した形で皆様にお知らせいたします。

まず、広島弁と広島サッカーを誇りにしてきた寺西氏は、冒頭に前回の下村さんの講演内容を引用して、我々指導者に苦言を呈されました。

「下村さんの講演内容は、うんちくのある話で非常に感銘を受けるものでしたが、皆さんはそれを充分に活用されていますか。」
と最初から我々にとっては厳しい言葉でしたが、このことは素直に受け止めなければならないと思いました。それから氏は徐々に本題に入っていかれました。

「個人のレベルアップ」は、表向きはやさしいテーマですが、実は奥が深く、氏は

「やねこいテーマをもらったのう」

と思われたそうです。今一歩の広島サッカーを何とかしたい一念で、このテーマをやり遂げたいと決心されたそうです。だが、このテーマには特効薬はなく、ただただ集中力と反復練習あるのみであるとされ、それでも、手をこまねいていては現状は打開できないから、テーマを「本丸」とすれば「本丸」に到達する前に「外濠」について話しつつ現状打開の糸口になればと考えられ、次のように先ず「外濠」について述べられました。

@勝利主義的部活=チャンピオンスポーツ

しかしながら現状は、生涯スポーツとチャンピオンスポーツとが同居している。やはり勝てば官軍、負ければ賊軍である。

A部員が多い

   サッカーブームも手伝ってか、それなりのチームは60〜70人もの部員がいるが、個人能力の差がありすぎ、どこにポイントをおいて指導するのかがボケてしまっている。加えて中学校から高校と一貫指導体制ができておらず、輪切り型になっている。これを修正するには、コミュニティー型を目指すことであるが、それには勝つことが大事である。

B施設が狭い

   グランドも体育館も60〜70人の生徒をまかないきれない。いわば「猫の額」のごとしである。こうした中ではファンクショナルトレーニングも何もない。もっと工夫が必要である。

C多すぎるトーナメント

   年間8回のノックダウンのトーナメントがあり、常にトップコンディションを保ち続けなくてはならない現状で、移行期・準備期・試合期とスケジュールをうまく組んでいくには、どうしたらよいか。(詳しく説明されましたが、ここでは割愛します。)

D生徒気質

   部活は遊び場であり、楽しい社交場である。だから、苦しんでまではしたくないし、集団の先頭になりたくないと思っている。そのため練習においても自主性に欠け、ただメニューを消化しているにすぎないのである。

以上の5つの「外濠」を話してみると、個人のレベルアップがいかに至難なことかよく解る。』・・・



後編につづく