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スクラップ帖97(山田洋次監督―2005年8月11日付け中国新聞「戦後60年を語る」から・・・)
| 2006/04/16
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NHK衛星テレビーBS2で連日「男はつらいよ」シリーズを放映している。渥美清主演の『庶民の哀歌を描いた』ご存じ山田洋次監督作品である。じっくりと観たことがいまだないのであるが、いつかこのシリーズ全部を、じっくりと鑑賞したいと思っている。
その山田洋次監督―1931年大阪生まれで、山口高校から東大卒、松竹入社とある。 昨年は戦後60年ということで、スクラップ帖94でも取り上げたが、2005年8月11日の中国新聞に「戦後60年を語る」から・・・
『・・・・・・ある時、アルバイトとして、工場から仕入れたちくわを行商したが、売れ残りに困って、町外れの草競馬場の屋台に行ってみた。一人のおばさんに 「あなた中学生なの?」と聞かれ、 「引き揚げ者ですから、自分で稼がないと学用品が買えないんです」と答えた。 「みんな置いていきなさい。これからも買ってあげるから」と言われ、涙があふれそうだった。
「経済的に助けられただけでなく、おばさんの笑顔を見ると幸せになれた。生きていく上では、お金より、笑顔を通して与えられる愛情が必要なんだ。それをあてに人間は生きていくんだと学んだような気がする。寅さんをつくる上での養分になったと思います。」
それから六十年。 「僕たちは、自分たちのようなひもじさや寒さを子どもたちには感じさせまいという思いに駆られながら、今の国をつくってきた。どこで道を間違えたのか、若者は未来に希望が持てなくなってしまった」と現状を憂える。
少子高齢化ばかりでなく、若者のひきこもりやニートも社会問題に。 「自分で考えずに、指示通りに生きることが要請されるのが今の社会だが、自分の世界に閉じこもる後ろ向きな暗い考えから早く抜け出てほしい」と訴える。
「親の世代の誤りに気づいて、自分の周りの人間や国々、人類に関心を持ち、周囲を懸命に見詰めてほしい。もっと賢くなって、自分の頭で考えて、これからの世の中と時代をつくっていくという積極的な気持ちを持ってほしい」。 若い世代へ向ける言葉は熱い。・・・』
あまりにも恵まれた「ピッチ」で、U-10の子どもたちはサッカーと共にどのように育っていくのだろうか。
山田洋次監督はこう話されている。
『人の思いやりや愛情を深く受け止めるには、極度の飢餓でも飽食でもなく、少し空腹で、少し寒いことが必要なのでは』と・・・
親も、指導者もここらへんでなんていうことはない、「少し空腹」に「すこし寒い」ことに晒されてみることに「少し勇気」が必要だろう。
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