50(フィフティーズ)の落書き帖

雑記帖123(旧道・・バス・・気くばり・・・)
雑記帖122(春ポカポカ、真昼の夢・・・)
雑記帖121(広島北ロータリークラブ例会にて・・・A)
雑記帖120(広島北ロータリークラブ例会にて・・・@)
雑記帖119(サクラ色・・・)
雑記帖118(弾ける・・・)
雑記帖117(子どもたちは・・僕の時代は・・)
スクラップ帖116(中田英寿選手の引退・・・)
スクラップ帖115(ワールドカップドイツ大会日本代表・・・各紙から・・・)
スクラップ帖114(「子供のため」の矛盾ー祖母井 秀隆氏の記事から・・・)
スクラップ帖113(ワールドカップーオーストラリア戦・・・)
スクラップ帖112(雑感・・・サッカー選手である前に・・・)
スクラップ帖111(夢・・・数学者の秋山仁さんー子どもと職業より・・・)
スクラップ帖110(詩人・坂村真民先生の「あとからくる者のために」・・・)
スクラップ帖109(雑感・・・あっちこっち・・・)
スクラップ帖108(寺西レポート・・・平成4年広島県高校総体決勝ー国泰寺対沼田より)
スクラップ帖107(ワールドカップドイツ日本代表メンバー発表・・・)
スクラップ帖106(脳科学者、茂木健一郎氏ーボイス2006.2月号から・・・)
スクラップ帖105(藤原正彦氏ー2003.9.28産経新聞の随筆より・・・)
スクラップ帖104(雑感・・・新聞の社説ー教育基本法ーから)


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スクラップ帖106(脳科学者、茂木健一郎氏ーボイス2006.2月号から・・・)
2006/05/12
「脳と仮想」で第4回小林秀雄賞を受賞した、茂木健一郎氏。脳科学者であり、ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャーという肩書きを持つ。雑誌「ボイスVoice」平成18年2月号(PHP研究所)の記事『大人の脳は子供に「進化」する』―読売新聞編集委員の小出重幸氏との対談―を切り貼りしながら・・・




『・・・・・・子供には実験でも観察でも、「本物」を体験させなければだめです。「本物」を見せなければ、子供に憧れを抱かせることはできません。・・・・・・(茂木)


・・・・・茂木さんの著作を見ていますと、脳機能の研究の面白さと同時に、科学をどのように素人の私たちに語り掛けたらよいか、どう表現したらよいかに努力を傾注されていると思います。・・・・・・(小出)



・・・――「脳と仮想」の文章のなかにあったと思いましたけれども、幼児は、心理的な「安全基地」を与えられたときにはじめて行動と感情両面の成長を進めること、母親をはじめとする周囲は、幼児が安心して周囲を探求できるこの安全基地を用意することが、心身の成長に不可欠だとお書きになっています。これは生命の本質を突くとても大切な指摘ですが、ご自身の体験に基づくところも多いですか。(小出)
 
自分の体験もそうですし、私が最近、学生たちと感情の研究をしているなかで、そこがいちばん重要だなということがつくづく分かってきたのです。心理的な安全基地を提供してくれる保護者に対して、幼児が示す親愛の情――これは大人であっても事情は同じで、目を輝かせて世界を探索することは、そのまま創造という作業に繋がってゆきます。
最近興味を引かれているのは、時間の流れのなかで現代人にネオテニー(幼生成熟化現象)の傾向が強くなっていることです。大人がいい意味で子供になるという、新たな進化の過程を辿っているような気がします。歴史のなかでネオテニーの例を探せば、モーツァルトなどが典型です。背景を考えると、現代においては「創造性」がいちばん大切な価値であり、創造性を発揮するためには、じつは大人も「子供らしさ」を残さなければいけない、という視点です。(茂木)

----振り返れば、情報産業、コンピューターのソフトウェアなどは、とくにその傾向が強いですね。昨年、伝記をまとめるためにビル・ゲイツに取材しましたが、彼の人柄にも、なんでも貪欲に吸収する子供らしさが感じられます。(小出)

学ぶことはそのまま創造に繋がっているのです。その意味でいうと、大人が子供らしさを残すということのは、要するに子供の探究心、創造性を損なわない状態のことです。(茂木)

――日本では勉強というと暗記が中心で、あんまり創造的なことじゃないと思われていますが・・・・・・。(小出)

「生涯学習」なんていうといかにもお勉強するというイメージが強いけど、本当の学習は創造性と密接に関わっているはずのものです。最近の脳科学の最も大事な知見の一つに、学習とは、イコール、創造性だという指摘があります。そして、経済自体もそれを望む方向に来ていると思います。創造するということは、新しいものにチャレンジするということです。チャレンジするためには、自分が安心してよって立つことができる基盤がなくてはいけない。これが先ほどの「安全基地」なんですね。必ずしもセキュリティという意味だけじゃなくて、人々が積極的にチャレンジしたり、さまざまな模索をするための「安全基地」を与えるということ、創造性のインフラを整備するということが、巡り巡って世界全体の創造性や安定化に繋がると思います。(茂木)・・・・・・』




子供たちに、『心理的な「安全基地」を与えられたときにはじめて行動と感情両面の成長を進めること、母親をはじめとする周囲は、安心して周囲を探求できるこの安全基地を用意すること』と述べている。この「安全基地」の持つ意味をゆっくり考えてみる必要がある。
当たり前のことが当たり前でなくなったのは一体誰の責任なのか。余りにも子供たちがかわいそうである。