|
|
スクラップ帖114(「子供のため」の矛盾ー祖母井 秀隆氏の記事から・・・)
| 2006/06/20
|
---|
祖母井 秀隆氏、現在ジェフ千葉のGMとして活躍されている。 沼田高校サッカー部監督の江濱 律夫先生と大阪体育大学での同期と聞いていることもあって、動向には関心を持っていたが、日本経済新聞(2006.5.16付け)の【スポートピア】に『「子供のため」の矛盾』という記事が掲載されていたのでここに紹介したい。
『このゴールデンウイーク、全国各地の校庭では熱いゲームが繰り広げられていたはず。その中には、全日本少年サッカー大会の地方予選もあったことだろう。
1977年に第1回を開いたこの大会には、私も何度か足を運んだことがある。30回目の今年、決勝大会は福島・Jヴィレッジで8月上旬に行われる(準決勝と決勝は東京・西が丘)。関係者に伺うと、始めた当初はキャンプファイアーや即興劇の披露など、お祭り的な雰囲気もあった。それが今はJリーグのミニチュア版のような、勝ち負けが前面に出る雰囲気になったという。
この大会で信じられないのは、2.44メートル×7.32メートルの大人用ゴールを使っていた時期があることだ。このサイズ、点は入りやすくても身長150センチにも満たないGKにすれば悪夢でしかない。下手をすると、進んでGKになる気持ちを子供たちから奪いかねない。ドイツではGKのカーンやレーマンはあこがれの対象で成り手も多いのに、日本で優秀なGKがなかなか育たなかったのは、このような環境からきていた、というのは八つ当たりに過ぎるだろうか。
50歳を過ぎると同窓会などで旧友と再会する機会が増える。私も最近、昔通った小学校を訪ねたが、高くて立派だった校舎、広々とした校庭が今は小さく狭く見えるのに驚いた。サッカーのフィールドやゴールも子供の目には、我々の何倍にも大きく映っている。その差を大人が感じ、子供と同じ目線で物を考えてやれているかどうか。
U-12(12歳以下)のW杯はないが、昔、日本でこの年代の世界選手権を行ったことがある。いつも優勝するのは東アジアの日本、韓国、中国でサッカー大国のブラジルやドイツは大差で負けていた。しかし、大人のW杯になれば立場は逆転する。どうして日本のU-12は強いのか。理由は簡単で、練習量の差。
一般的に日本では、全国大会に出場するには週6回の練習が最低条件だそうだ。その量は年々エスカレートしているという。ドイツでは、日本のように毎日練習する少年チームはない。ほとんどのチームは週2回の練習+週1回のゲーム。大人たちが勝利至上主義に走らないように、日本のような全国大会は開催されてもいない。
ジェフ千葉に入部してくる小、中学生の中には既にスポーツ障害を抱えている子がいる。その障害が原因で大好きなサッカーができなくなるケースもある。過度のスポーツ活動による、目に見えない心の障害が生じているケースもある。
全国のお父さんコーチや、お母さんマネジャーの皆さん。 (自分の)子供のために、というのは分かるけれど、大人の熱狂がエスカレートして奪ってしまう子供の世界についても、しっかり目を向けてほしい・・・・・・。』
練習となれば、強制―集団―大人の介入・・・となり、遊びとなれば、自由―ひとりであるいは仲のいい友だちと好きなときに好きなだけ・・・となるだろう。 此処のところをわれわれは整理してみなくてはいけない。 われわれも子どもたちもサッカーが好きでたまらないのだから・・・
|
|